「タイパ」も良いけど「寄り道」も悪くない。
振り返ってみれば人生の「寄り道」が「彩り」になることも

今年の桜は少し遅めの開花となり、東京では4月に入ってから満開となりました。新年度が始まる4月は、新生活をスタートさせた人も多いことでしょう。また、特に進学や就職、部署異動のない人でも、気分一新できる季節ですよね。「新生活キャンペーン」や「新年度は成績向上のチャンス！」など、キラキラとした言葉にあふれ、みんな元気よく4月を迎えている雰囲気があります。
でも、進学や就職が思うようにいかなかった人、希望を持って新年度を迎えたけれど早々に気持ちが折れてしまった人、4月からは頑張ろうと思っていたけれど現状維持で精いっぱいという人も、いるのではないでしょうか。世間が前向きオーラ全開の時期だからこそ、焦りや不安を募らせてしまうことも……。

若い世代を中心に、最近では「タイパ」重視がスタンダード。「タイパ」とはタイムパフォーマンスを略した言葉で、かかった時間に対する効果や満足度を示しています。あまり時間をかけずに、いかに効率よく効果や満足度を上げるかを重視する人が増えているのです。最初に「タイパ」を聞いたとき、私は「今の若い人って凄い！若い時から時間の大切さを知っているんだ」と感心してしまいました。私が若い時は、お金はなくとも時間は無尽蔵にある気がしていました（笑）。バックパックを背負って1年以上も外国を旅したり、気になる仕事があればチャレンジしてみたり、仕事もせずのんびり過ごしたりと、とにかく「寄り道」ばかり。「タイパ」とは真逆の道を進んできたように思います。
ただ、後悔はしていないのです。振り返ってみれば「寄り道」から新しい発想が生まれることもあったし、大切な人たちとの出会いもありました。今の仕事を始めたきっかけも「寄り道」しているときでした。もちろん、人生の早い段階でやりたいことが見つかり、目標を持って真っ直ぐに突き進んでいくことは、とても素晴らしいことです。「タイパ」も抜群に良いです。でも今、焦りや不安を抱えて毎日を過ごしている人には、人生の「寄り道」をしていると思ってみてほしいです。長い人生のうち「寄り道」したって良いじゃありませんか。「寄り道」しなかったら見えない景色や出会いだってあるはずです。
人生の「寄り道」が「彩り」になることもあると知っておいてほしいです。